実質金利がマイナスになっているというのはひとつ利上げが求められる背景にある。
他方で、足元が投資過剰なのかどうか。もっとも金利に反応する住宅市場が加熱気味なのか?
物価のメカニズムとして需給・賃金・期待を上げているが、賃金と期待に政策金利をもって働きかけることはできない。
日本銀行から10月会合の主な意見が公表されました。
序盤の景気の認識については明らかにタカ派的認識が増えたように思います。トランプ関税による悪影響はもう限定的となり、日本景気への下押し圧力ももう小さいだろうとの見方が多かったと思います。
ただ金融政策の箇所については、思ったよりは不確実性に言及されていた印象です。米国経済の不確実性と、高市政権の経済政策の不確実性の2点が挙げられています。後者は単に発足したばかりということが理由と思います。
12月会合の利上げの有無については、国内経済については特に問題なしと考えている委員が多いと見られ、米国次第、為替次第に加え、高市政権の政策内容次第では利上げもあり得るとしか言いようがないと思います。高市政権については、首相と植田総裁のコミュニケーションがいつ取られるのか、その結果、利上げに対する共通認識がどう生まれるか次第ではないかと見ています。
実質金利が大幅マイナスという認識や、不動産など資産価格への言及、基調的物価よりヘッドラインを重視した判断など、明らかにタカ派的言及は出ていますが、政策判断はなお米国経済次第が第一で、次いで為替といったところでしょうが、高市政権側の利上げ認識も鍵を握ると見られます。
一方で12月会合に利上げがされれば多少はサプライズにはなりますが1月会合までの利上げはコンセンサスになりつつありますので、12月会合に利上げをしたとしてもあまり株価には響かなそうに思います。むしろ1月会合までに利上げをしなかった場合の影響の方が大きそうです。これはテールリスクシナリオと現時点では見ています。