PMの役割が「決定者」から「ファシリテーター」に変わっているというのは本当にそうですよね。
この流れ、実は去年大手企業のAI活用支援をした時に痛感しました。
従来の進め方だと、PMが要件を固めてからエンジニアに渡すという流れだったのが、AIプロダクトでは最初の1週間でプロトタイプを作って実際の出力を見ながら全員で方向性を決め直すことが3回もあった。
ここで重要なのは「失敗を早く共有する文化」を作ること。
具体的には、毎日15分のスタンドアップで「昨日の実験で期待と違った結果」を必ず1人1つ共有するルールを設けた。これだけで手戻りが半分になる。
もう1つ、チームメンバーを必要最小限にするのも大事。4人以下が理想。人数が増えると意思決定が遅くなり、AIの出力品質を見ながらの素早い方向転換ができなくなる。
AI時代のPMは「答えを知っている人」ではなく「チーム全員で最適解を見つけるための問いを投げかけられる人」になる必要がある。
AIプロダクト開発の現場ではPMの役割が大きく変わっている組織が増えてきた。生成AIプロダクトのPMたちの話を聞くと、従来の「要件定義→実装→テスト」という線形の進め方が通用しなくなっているのがよくわかります。どう変わっているのか?
AIの出力品質がプロダクト体験の中心にある以上にFigmaのような静的プロトタイプを見せてユーザーの反応を見るといった従来型のユーザーテストはもはや意味がない。ユーザーは“動的なAIのふるまい”に価値を感じるためその「出力の質」こそが評価の対象になるからです。
そのためPM、エンジニア、デザイナー、そして新たに加わったサイエンティスト(AIリサーチャーやデータサイエンティスト)は、以前よりもはるかに密接に連携するようになっている。モデルの挙動やデータの偏り、ユーザーの期待値と出力のギャップ、こうした複雑な要素を一緒に扱うには職種の垣根を越えた協働が不可欠になった。そのためチームメンバーも必要最小限になることが多い。
例えばエンジニアも単に実装を担うだけでなく、実験設計やユーザー体験の定義にまで踏み込むことが求められている。AI時代のプロダクトでは「コードを書く力」よりも「プロダクトとして何を学習させるかを設計する力」が問われるようになったとも言えますね。そしてPMはチームの中心で全てを決める存在ではなくむしろチームメンバーがそれぞれの専門性を最大限に発揮できるよう環境を整えるファシリテーターへと変化しています。指示を出すのではなく問いを立て、実験を設計し、失敗を早く共有する。そんなチーム運営が成果を左右する時代に入ってきた。
AI時代のPMに求められるのは従来の方向性を決め現時点での最適な解を出す力だけではなく「チームメンバーと密に協業してAIの力を活かす」方向になってきた。より広く・専門性が高い役割になっていくのは間違いない。